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武器としての神経症候・高次脳機能障害の診かた 高次は地味だが役に立つ

武器としての神経症候・高次脳機能障害の診かた 高次は地味だが役に立つ

販売価格: 9,240(税込)

商品詳細

曖昧なことのほうが面白くはないですか?
「高次脳機能・神経心理・神経症候は難しい」を打破するために,診療に臨む著者の頭の中を出来うるかぎり言語化して生まれた本です.そのため,救急や内科外来における時系列に沿ったリアルな症例(第2部:症例編)を軸にしています.しかしながら,症例に臨む前に最低限の準備は必要です.第1部:準備編で適度な理論武装を求めています.症例から診断に迫る過程では,現時点の知識では太刀打ちできない壁にぶつかることと思います.そんなときは,第3部:スキル編(もしくは第4部、第5部)に飛んでください.症例編とスキル編を行ったり来たりすることで,自分の中の知識が日常診療で役立つ武器にまで昇華してくることを想定しています.難解な領域ですが,多くの臨床医にとって,“意外に”役立つ一冊です.

【目次】

動画・音声視聴方法
はじめに
本書の構成と読み方
本書のメッセージ
略語集


第1部 準備編

第1節 脳神経内科の診断法
第2節 当院の診療体制
第3節 当科の超急性期再灌流療法適応基準
第4節 超急性期画像診断
第5節 SPECTの見方


第2部 症例編

第0節 「症例編の歩き方」

第1章 一般神経症候
第1節 麻痺/感覚障害
  001 危なくrt—PAを打つところだった片麻痺(1)
  002 危なくrt—PAを打つところだった片麻痺(2)
  003 DWI陰性で帰宅させた後に再増悪した片麻痺
  004 「転んで肩が上がらなくなった」のではなかった
  005 脳塞栓ではなかった日中突発の単麻痺
  006 ハウス作業中(気温33℃)のふらつき
  007 突然の片麻痺,しかし頭部MRIでは陳旧性病巣のみ
  008 突然の歩行障害,しかし片麻痺はごく軽度,頭部MRIも異常なし
  009 突然の片麻痺,しかし“DWI”は異常なし
  010 rt—PAを打った片麻痺,構音障害
  011 rt—PA静注中の昏睡
  012 急性発症の両下肢脱力,Guillain—Barré?
  013 “Guillain—Barré”が治らない
  014 “麻痺対側”には病巣がなかった片麻痺
  015 繰り返す手のしびれ,脱力,TIA診断で二次予防?
  016 片麻痺対側に硬膜下血腫.除去術は?
  017 rt—PA静注1時間後のMRIで冷える
  018 らしくない病歴,らしくない病変
  019 タップテスト後に歩行障害悪化,本当に正常圧水頭症?
  020 突然片麻痺+低酸素血症.脳も肺も異常なし
  021 尿閉3日後,突然の起立困難
  022 「突発」,髄節性感覚障害,病巣は楔型→本当に鑑別一択?

第2節 意識障害
  023 実はcode stroke対象であったJCS III—300
  024 しゃべらなくなったが,DWI異常なし
  025 JCS III—300からの意識回復.第一声に絶句
  026 突然眠り込み.目が覚めると別世界,夢の続き?
  027 寝てるだけ?(1) MRIも血液検査も異常なし
  028 寝てるだけ?(2) 入院後も繰り返す昏睡

第3節 けいれん
  029 けいれんの治療は奏効.翌日気づいた見落とし
  030 けいれんは止めた,しかし真実は“ベール”の向こう側に
  031 初発のけいれん,DWIは陰性,だが
  032 小脳性てんかん?
  033 難治性けいれん(1) MRI異常なしも,遷延2か月
  034 難治性けいれん(2) 1日に100回起こるけいれん?
  035 難治性けいれん(3) 奇妙なけいれん
  036 難治性けいれん(4) まさかの疾患
  037 けいれん頻発,ER玄関でも再発.患者の手を取って気づく
  038 心因性けいれん? と思いきやの無呼吸発作

第4節 頭痛
  039 帰宅させた頭部違和感の患者が帰ってきた
  040 帰宅困難の頭痛,翌朝病室で急変
  041 頭痛で受診した3日後にCPA
  042 くも膜下出血? じゃない?
  043 運動失調も続発したのに,病巣が見つからない頭痛
  044 突発頭痛,MRI正常,しかし面会家族は気づいた
  045 眼精疲労で紹介.眼科医から想定外の返書
  046 頸損,4時間後の昏睡
  047 排便後の激烈な頭痛
  048 頭痛,眼瞼下垂の翌日に昏睡
  049 「頭痛で目が開けられません」「!」急ぐ理由
  050 眼痛,ふらつき.想定外の疾患
  051 「首に拍動痛が……」「エコー当ててみましょう,うわっ!」
  052 動くと頭痛がする

第5節 めまい
  053 単なる突発性難聴ではなかっためまい
  054 めまい+脳神経症候,だが病巣が合わない
  055 帰宅としためまい,2日後に昏睡で帰院
  056 発症4時間後に病室で昏睡,呼吸停止しためまい
  057 めまい発症の2時間後に除脳硬直
  058 それから25年,助けられるようになっためまい

第2章 高次脳機能障害
第1節 言語
  059 話し言葉が遅くなっただけ?
  060 たしかに口数は減ったが,それなりに会話は成り立つ
  061 「ちょっと何言ってるかわからない」
  062 けいれんの翌日,上機嫌なのに喋らない
  063 「耳が聞こえない」だけをひたすら連呼
  064 毎回同じ話,本当に元キャラ?
  065 失語なのに梗塞は側頭葉内側?
  066 失語なのに梗塞は小脳?
  067 病巣のない失語,1年後にわかったこと
  068 ラクナ梗塞で失書?
  069 役所で自分の名前が書けない.
  070 人の名前が出てこない,本当にそれだけ
  071 パソコンが使えない
  072 突然言葉が出なくなった20代,男子学生
  073 閃輝暗点,失語を伴う頭痛が突如頻発,片頭痛?
  074 失声.心因性?
  075 失語なのに病巣は右
  076 右利き右病変で失語,前回は左病変で失語
  077 血腫除去術後の一過性失語,TIA?
第2節 認知
  078 突然,色々と様子がおかしくなった
  079 目の前にあるのに「自分の靴はどこか」
  080 まんじゅうこわい? いや病院食が怖くて食べられない
  081 「4人いる!」
  082 「ボールペン? 字を書くものでしょ,えっ,これが?」
  083 徘徊,「とても回復期は無理」?
  084 不思議の国のアリスの世界
  085 自分の手でない(1) 左手が自分の手の感じがしない
  086 自分の手でない(2) 左手を持つ時だけ,右手が自分のでない感じ
  087 目が合わない,いや目が合わせられない
  088 片側病変で生じた,「原則両側」病変で起こる症候
  089 自分の手でない(3) 風呂上がり,バスタオルの中から他人の手
  090 ポストおじさん
  091 面会謝絶なのに,夜中に娘がやってきた
  092 懐かしい風景
  093 話してもわからないが,×××ならわかる
第3節 行為
  094 風呂上がりにボーっとしていた,湯あたり?
  095 自分の手でない(4) 左手が不器用になった
  096 自分の手でない(5) ひげ剃りが使えない
  097 自分の手でない(6) 「右手が言うことを聞かない」,え,そっち?
  098 自分の手でない(7) 左手が勝手に動く
第4節 記憶,前頭葉機能,他
  099 ここはどこ?
  100 「一晩寝たら,朝には治ってますよ」で帰宅可?
  101 事故後聴取でかみ合わない,混乱? 言い訳?
  102 それでもKorsakoff症候群はある
  103 健忘.10年後に気づいた病巣
  104 急性発症の認知症と,もう一つの症状
  105 うつ?
  106 「グリーンにホールがない」の苦情で発覚
  107 不穏から1か月で失外套
  108 drop armテストで顔をよけるから,身体症状症?


第3部 スキル編

はじめに
「多元主義」のすすめ

第1章 症候別初療時対応
第0節 全般的注意 
第1節 一般神経学的所見
  1 麻痺/感覚障害:脳「じゃない」を疑う
  2 意識障害:III桁と聞いたら,脳底動脈閉塞と思え
  3 けいれん:非てんかん性けいれんと非けいれん性てんかんを見抜こう
  4 頭痛:「今まで経験のない」なら帰さない
  5 めまい:1時間以上待たない
第2節 高次脳機能障害
  0 全般的注意 スクリーニングは困難,でも時短ならできます
  1 言語:課題結果でなく要素的言語症候で分ける
  2 認知:絨毯爆撃ではなくセミ・ピンポイントへ
  3 視覚性認知障害の分類
  4 行為 「行為障害は,他症候の顔をしてやってくる」
  5 記憶:健忘ならルーティン,ただし作話にはだまされない
  6 前頭葉機能障害:早めの継投策で
第3節 問診チェックリスト「かいしはせかす」 
第4節 主訴—鑑別症候リスト
  (1)口数が少ない
  (2)ものがうまく持てない,使えない
  (3)家事,仕事がうまくできない
  (4)物の見え方がおかしい
  (5)見た物が何かわからない
  (6)いないはずの人がいる
  (7)声が聞こえていないよう,あるいは聞こえない
  (8)自分の手ではない
  (9)会話の内容がおかしい
第5節 うまい再現ドラマの作りかた
第6節 それでもという方のための「高次脳機能障害スクリーニングin ER」 
第7節 診察リュックの中身 百均で調達

第2章 局在診断のための神経機能解剖学の基礎知識
第1節 脳表から見た脳回と脳溝
第2節 水平断で見た脳溝と脳室
第3節 水平断でわかる脳回,白質,基底核
第4節 高次脳機能障害 症候—病巣対応表
第5節 高次脳機能障害の責任病巣 水平断
  1 失語の要素的言語症候局在
  2 半側空間無視の責任病巣
  3 記憶障害の責任病巣
第6節 視床の機能解剖
第7節 脳幹の機能解剖
第8節 大脳の血管支配と境界領域
第9節 視床,脳幹,小脳の血管支配
第10節 脊髄の血管支配と機能解剖
第11節 てんかんの画像所見 病巣の意義
第12節 中枢神経系炎症性疾患で行う検査
第13節 急性神経疾患DWI病巣の考え方 脳梗塞との鑑別
第14節 主訴—症候不一致時の考え方 症候—病巣不一致時鑑別疾患リスト

第3章 高次脳機能障害学 ステップアップのために
第1節 高次脳機能障害の診断,評価プロセス
第2節 神経心理学的評価ツール一覧
第3節 推薦図書


第4部 Q & A編

Q1.どのような患者を脳神経内科医にコンサルト,他院に紹介したらよいでしょうか?
Q2.全て入院させるには限界があります.どのような患者を帰宅させたらよいでしょうか?
Q3.自施設でできることは限られています.どこまでやれば良いでしょうか?
Q4.「心因性」の診断はどうしたらよいでしょうか?
Q5.意識障害や複数の神経症候を伴う患者の高次脳機能障害を,どのように評価したらよいでしょうか?
Q6.鑑別疾患や鑑別症候はどれだけ覚えたらよいでしょうか? 上手いスクリーニングはないですか?
Q7.教科書や論文によって異なる名称や分類のある高次脳機能障害は,どれを選んだらよいですか?
Q8.相談できる指導者がなく,所見や解釈に自信がありません.どうやって独学したらよいでしょうか?
Q9.要領悪く,タスクも膨大で,自己研鑽や休息の時間がありません.どうやって時間を作ったらよいでしょうか?
Q10.それにしても症候学,特に高次脳機能障害って曖昧です.本当に科学といえるのでしょうか?


第5部 資料編

第1節 ERで使用する神経学的評価スケール
  1 National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)
  2 NIHSS経過チャート(当院仕様)
  3 Mini—Mental State Examination(MMSE)
  4 Frontal Assessment Battery(FAB,前頭葉機能評価バッテリー)
  5 modified Rankin Scale(mRS)
  6 JCS:Japan Coma Scale
  7 GCS:Glasgow Coma Scale
  8 MMT:Manual Muscle Test
  9 NRS:Numerical Rating Scale
第2節 診察携帯アイテム
  1 タッピングスパン 3×3マス
  2 乱数列表
  3 呼称課題
  4 読字課題
  5 Otaの抹消試験
  6 Five point test
第3節 診療情報使用同意書(当院仕様)

結論
あとがき / 謝辞
索引

商品詳細

著者 稲富雄一郎
出版社 中外医学社
発刊年 2025年04月
ISBN 978-4-498-42826-3
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